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2021.10.4 更新

妊産婦さんの健康には周囲のサポートが欠かせません

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

妊娠中や産後は、身体的にも精神的にも不安定になりやすい時期で、中にはうつ病を発症してしまうケースも。「自分は大丈夫」と過信せず、できないときや不安なときは周囲に頼ることも大切です。パートナーや家族の協力も必要不可欠です。

妊娠中、産後は、精神的に不安定になりやすいとき

妊娠中、そして産後は、身体的にも精神的にも不安定になりやすいとき。妊娠・出産で体に急激な変化が起きるうえに、これまでとは生活も大きく変わります。

産後はお産のダメージが回復しないまま、新生児のお世話が始まり、睡眠不足の状態で慣れない育児をすることになります。産後すぐは、イライラしたり落ち込んだり、急に涙が出るようなマタニティブルーズを経験する人も。また、妊娠中や産後にうつ病を発症してしまう人も少なくありません。

近年は、少子化や家族関係の変化などにより、とくに精神的に不安を抱えながら妊娠・出産・育児をしなければいけない妊産婦さんが増えています。2017年には、妊娠中は約10%、産後は10~15%にうつ病がみられるというデータも報告されています。(※1)

一人で抱え込まず、「人を頼る」「サービスを利用する」「専門家に相談する」

そんな妊産婦さんの不安や負担を少しでも減らすためにも、家族、とくにいちばん近くにいるパートナーのサポートは必要不可欠です。妊産婦さんは、日々の生活や育児に不安や負担を感じたら、1人で抱えこまず、パートナーを始めとする家族や周囲の人に頼るようにしましょう。

パートナーが激務で頼れない、両親が高齢でサポートしてもらえないという場合もあるかもしれません。そんなときは、今だけと割り切って、多少お金がかかってもミールキットや宅配サービス、産褥ヘルパーや家事支援サービスなどを利用して妊産婦さんの負担を減らすのも1つ方法です。

また、「精神的に不安定かも」「うつ病かも」と感じたときは、早めに医師、助産師や保健師などの専門家に相談することも大切です。

※1 公益社団法人日本産婦人科学会、妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル.産前・産後の支援のあり方に関する調査研究(平成28年度子ども・子育て支援推進調査研究事業).2017
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/jaogmental_L.pdf

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」
https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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