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2021.10.4 更新

妊娠中に食べすぎ・飲みすぎてはいけないもの

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

「08 妊婦さんが心配な、魚に含まれる水銀について」「09 妊婦さんが心配な、食中毒について」でも妊娠中に気をつけたい食品を紹介していますが、それ以外にもカフェインやビタミンAのように、摂りすぎに注意したいものがあります。

カフェインは1日にコーヒー1〜2杯程度に

妊婦さんが高濃度のカフェインを摂取すると、胎児の発育を阻害する(低体重で生まれる)可能性があることが示唆されていますが、胎児への影響は確定していません。

妊婦が摂取していいカフェインの上限値も定められてはいませんが、世界保健機関(WHO)は「妊婦はコーヒーの摂取量を一日3~4杯までにすべき」とし、英国食品規格庁(FSA)は「妊娠中のカフェイン摂取は1日200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するように」と求めています。

出典/食品安全委員会「食品中のカフェイン」

妊娠初期はビタミンAの摂りすぎに注意が必要です

ビタミンAは妊娠3カ月までに過剰摂取すると、おなかの赤ちゃんに先天性奇形のリスクが増加するという報告があります。

これから妊娠を考えている人や、妊娠3カ月以内の人は、レバーやうなぎなどビタミンAの含有量が多い食品やサプリメントなどを、継続的に過剰摂取しないように気をつけましょう。

緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、体内で必要な量だけビタミンAに変換されますが、余分な量は体外に排出されるので、たくさん摂っても問題ありません。

ひじきは毎日大量に食べ続けないように

ひじきは鉄などのミネラルや食物繊維が豊富な食品ですが、2004年に英国食品規格庁(FSA)が「発がんリスクが指摘されている無機ヒ素が含まれているから食べないように」とイギリス国民に勧告。

その後、日本の厚生労働省は、「毎日(乾燥時)4.7g以上の大量のひじきを継続的に摂取しない限り問題ない」と発表しています。

栄養バランスが整った食生活をしていれば、たとえひじきを食べたとしても、健康上のリスクが高まることはないと考えられています。

ハーブティーには避けたほうがいいものもあります

カフェインが含まれていないので、妊婦さんも飲みやすいハーブティーですが、ハーブの種類によっては子宮を収縮させる働きがあるものや、妊娠中の摂取による安全性がわかっていないものもあります。

一例ですが、レモングラス、ハトムギなどには子宮収縮作用があるとされています。

ハーブティーを購入するときは、成分表示や注意文をしっかり読むようにして、大量に飲むのは避けたほうがよさそうです。心配なときはかかりつけ医に相談してから飲みましょう。

<参考>農林水産省公表「​​カフェインの過剰摂取について」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

<参考>厚生労働省公表「妊産婦のための食生活指針」「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

<参考>政府広報「ご注意ください!お肉の生食・加熱不足による食中毒」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201005/4.html

<参考>厚生労働省公表「ヒジキ中のヒ素に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html

<参考>国立健康・栄養研「健康食品」の安全性・有効性情報「妊娠中のハーブ製品*1の自己判断による摂取に注意して下さい 」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/usr/kiso/ninpu-herb/ninpu-herb-document.pdf

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


妊娠中・産後の食事のきほん 目次

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病気のときの食事は「何を食べたらいいかわからない」「おいしくない」など、悩みがたくさんあります。病気のときも、毎日の食事をおいしく食べていただくために、病気ごとの食事のきほんをお伝えします。