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2020.8.7 更新

適量を守れば飲酒も可能です

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

お酒を楽しんできた人にとっては、病気になった際、飲酒ができるかどうかは気になることでしょう。

高血圧の治療下では、お酒を飲んでもいいのでしょうか?

飲酒の習慣は血圧上昇の原因に

お酒を飲むと、実は一時的ですが血圧が下がります。
血圧が下がると聞くと安心してしまいますが、毎日お酒を飲んでいたり一度に大量に飲んだりするなど、飲酒が習慣化すると血圧は上がります。

この飲酒の習慣は、高血圧に加え、脳卒中やアルコール性心筋症、心房細動、夜間睡眠時無呼吸などを起こす可能性を高めます。

禁酒ではなく「節酒」をしましょう

高血圧の治療をしているときも、医師から止められていなければお酒を飲むことはできます。ただし好きなだけ飲んでもいいわけではなく「適量」があります。

「高血圧治療ガイドライン2019」では、お酒の成分であるエタノール量に換算して目安を示しています。

1日のエタノール摂取の適量として、男性は20〜30ml以下(日本酒だと約1合程度)、女性はその約半分の10〜20ml以下(日本酒で約半合)を推奨しています。

身近なお酒の目安量でみると、男性の場合、ビールは中瓶1本、焼酎は半合、ワインは2杯です。女性はエタノール摂取量が男性の半分であるため、お酒の目安量も半分になります。

お酒の目安量

日本酒 1合(女性:半合)

ビール 中瓶1本(女性:中瓶1/2本)

焼酎 半合(女性:1/4合)

ワイン 2杯(女性:1杯)

おつまみの食べすぎにも気をつけて

お酒といっしょに食べるおつまみの塩分にも気をつけたいものです。

チーズやハム、明太子などはおつまみによく登場しますが、塩分や脂質が高くなりがちな食材です。お酒の量を守っていてもおつまみによって血圧が上がってしまったら、元も子もありません。食べすぎに気をつけ、ナトリウムを排出するカリウムを含む食品を合わせて食べるなど、食べ方をくふうしてみましょう。

お酒はじょうずに飲めばストレス解消やリラックスにもつながります。適量を守っておいしくお酒の時間を楽しんでください。

<参考>日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

<参考>厚生労働省「健康日本21」

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文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。